不動産屋の物件案内術
江戸川区の不動産エージェント江戸川不動産情報館・金野秀樹(コンノヒデキ)です。
本日のテーマは「不動産屋の物件案内術」です。
不動産屋は物件の案内をするときにどんな思考なのか、どんな絵図を書いて物件を買ってもらおうとしているのか?
不動産屋の手法を知っておくことで、「押し売り・売り込み」から回避する事が出来ますので、是非、参考にして下さい。
目次
本命物件を買わせる為の絵図とは?
VR内見という新しい技術を使った手法が出てきましたが、まだまだ実際には、お客様を物件にご案内する事で、契約に向けてのステップを進んで行くのが一般的でしょう。
例えば、物件情報を求めて、不動産屋に訪問したとします。
営業マンに希望条件を伝えて、物件をいくつかピックアップしてもらい、案内してもらう。
この行為は、不動産屋からすると、お客様を物件に案内する。
お客様からすれば、物件を内見・内覧する。
何気なく行っているこの「案内」ですが、実は不動産屋には「物件案内術」というものがあります。
物件を案内する際には、事前に物件の下見をして、どう物件を案内すれば、自分が売りたい「本命物件」を買ってもらえるかの案内ルートを検討します。
言うならば、買ってもらう為の「絵図」を書いているのです。
本日は、オーソドックスな2つのパターンをご紹介しましょう。
不動産用語解説
まず、ルートの説明をする前に、不動産屋が使う不動産用語の説明をしておきましょう。
- 本命物件…不動産屋が売りたい物件を本命と呼ぶ。不動産屋が大好きな「両手仲介」物件であることが多い。
- まわし物件…本命物件に決めてもらう為の「かませ犬」的な物件の事を呼ぶ。当て物(物件)とも呼んだりする。
パターン①本命際立て作戦
「パターン①本命際立て作戦」は、いたってシンプルです。
本命物件の前に、まわし物件をいくつか用意して、本命物件の魅力を際立てさせるという手法です。このパターンでは、本命より魅力的な物件は案内しません。
それでは、実際の案内の状況を解説してみましょう。
- まず最初に案内する一軒目の「まわし物件」は「本命物件」よりも、駅から遠くて日当たりが良くない中古物件。
この物件は、他社が売主側の仲介業者の為、契約が決まっても、買主からの仲介手数料しか受領出来ない為、気に入って貰おうとは、そもそも思っていない。
お客さんの希望条件は日当たりが良い物件なので、当然、お客さんの反応は悪い。
しかも、駅からも遠い為、論外といった感じ。
不動産屋からすれば、一軒目は、ボクシングで言ったら「ジャブ」みたいなもの。
お客さんの反応を見て、予定通りのルートで行くかどうかを判断する。 - 二軒目も「まわし物件」を案内する。
一軒目よりは少し条件の良い物件を案内する。
例えば、駅から近い中古物件。こちらの物件も他社が売主側の仲介業者。
お客さんの感想は、「駅から近いから便利だけど、中古だからリフォームが必要だね。
リフォームを含めた予算としては範囲だけど、リフォーム後のイメージがつかないなー」といった感じ。 - 三軒目はいよいよ本命物件。
二軒目より駅から離れるが、ピカピカの新築物件。
予算的にはリフォームを含めた二軒目とほぼ同じ。
お客さんの反応「二軒目よりは少し駅から離れるけど、新築だから、リフォームの心配がいらないし、保証も中古物件よりも長いし安心だ。何より新築はピカピカで気持ちが良いね」
この本命物件は、売主が不動産事業者であり、契約が成立すれば、売主からも仲介手数料が不動産屋に支払われる「両手仲介」となる物件。
だから、本命にしたわけである。
パターン②身の丈作戦
少し前に政治家の発言で炎上した「身の丈」という言葉。
パターン②は、お客さんにやんわりと「身の丈」を感じてもらい、本命に向かっていくという手法です。
それでは、ルートを見ていきましょう。
- 一軒目は「パターン①」と同じで条件の悪い中古物件を案内する。
当然、お客さんの反応は悪く、がっかりした様子で「これならわざわざ買う必要がないな」 - 二軒目は一転して「本命」以上の好物件。
駅からも近く、設備のグレードも高い中古の築浅注文住宅をあえて案内する。
お客さんの反応「駅近だし、設備も凄い、注文住宅だけにさすがだね、でも価格がな…」
このお客さんの予算では、この二軒目の物件は手が出せない。
案内した不動産屋も最初からその事は分かっていた。
しかし、あえて案内したのは…
そう「身の丈」をわかってもらう為。 - 三軒目はいよいよ本命物件。
二軒目より駅から少し離れるが、予算内の新築建売住宅を案内する。
お客さんの反応「二軒目を見ちゃうと見劣りするけど、この価格が現実的だよね。新築でピカピカだし、設備も今の建売住宅は悪くないね」と上々な様子。
不動産屋の思考
不動産屋のオーソドックスな物件案内術の2パターンをご紹介しました。
勿論、実際には上記のように簡単にはいきません。
お客さんの反応は、人によって十人十色。
それぞれのお客さんの反応に合わせて、営業トーク・応酬話法を用いて、「本命物件」を目指していきます。
当然、不動産屋の思惑通りにいかない事も多々あります。
分かって頂きたいポイントは、不動産屋の思考なのです。
不動産仲介事業者の思考は「いかに効率的に売上を稼ぐか」なのです。
効率的に稼ぐ為に、同じ価格の物件を契約してもらうなら「両手仲介」が成立する物件をなるべく契約してもらいたい。
これが「不動産屋の思考」です。
お客さんの利益を第一義にしているのか?
自社の利益を第一義にしているのか?
もし、自社の利益を第一義にしている不動産屋から買ってしまうとどうなるのでしょうか。
最悪の場合、資産価値の維持しにくい物件を買ってしまう事になりかねません。
自分の本当に求める物件を案内してもらう為には?
それでは、不動産屋が描いた「絵図」通りではなく、自分が「絵図」を描く為にはどうすればいいのか。
自分が本当に求める条件の物件を案内してもらう為にはどうすべきか。
簡潔に纏めると注意点は下記の通りです。
- 物件情報の開示を求める
- ポータルサイト・自社ホームページから問い合わせをしない
- 信頼出来る不動産屋を探す
解説していきましょう。
物件情報の開示を求める
不動産屋に物件情報の開示を求めましょう。
不動産屋だけが閲覧出来る不動産データベース「レインズ」の開示を求めるのです。
もし、積極的にレインズの開示に応じてくれない場合は、別の不動産事業者に切り替えた方が良いでしょう。
不動産事業者は、物件情報をレインズで共有しています。
その為、ネット環境があれば、どの不動産屋も持っている物件情報はほとんど変わりません。
もし問い合わせをしたからと言って、その不動産屋ではなくても、契約する事が出来るのです。
ポータルサイト・自社ホームページから問い合わせをしない
はっきり言いましょう。
ポータルサイトから問い合わせをする事はお勧めしません。
何故なら、不動産屋は、広告費を支払って、スーモ・アットホーム・ホームズといったポータルサイトに物件情報を掲載しています。
その為、広告費を回収する為に、公平な提案はしてくれない可能性が高いのです。
ポータルサイトは広告です。
広告は、積極的にネガティブ情報が分かるような掲載の仕方はされていない事を覚えておいてください。
ポータルサイトを丸裸にする不動産テックツール「セルフィン」を活用しよう。
セルフィンはネガティブ情報が一目でわかる便利ツールです。
自社ホームページの物件情報は新鮮ではない
それでは、不動産屋のそれぞれの自社ホームページはどうなのか。
これも一緒です。
手間暇かけて、物件情報を掲載しているわけですから、ポータルサイトと一緒で、問い合わせした先は、何とかその手間を回収するために売り込んでくることでしょう。
さらに、自社ホームページの物件情報は新鮮な情報ではない事が多いです。
自社ホームページの物件情報は、多くが「レインズ」から物件情報を借りてきて掲載していることがほとんどです。
事務員さんや専属の掲載担当者が一人か二人で、一生懸命に「レインズ」から膨大な量の物件情報を自社ホームページに転載して、物件情報が豊富な会社であるとアピールしているわけです。
膨大な物件情報を掲載した結果、どうなるのか?
物件情報のクリーニングが追い付かず、すでに成約済みの物件や売り止めの物件も掲載されてしまっています。
結果的には、おとり広告と言われても仕方ない状況なわけです。
信頼出来る不動産屋を探す
物件情報を探すことよりも、信頼出来る不動産屋を探すことが重要な事と言っても過言ではありません。
不動産屋の中でも、不動産エージェントを味方につける事が出来れば、公平な不動産取引を実現出来て、資産価値の維持しやすい物件を購入出来る可能性が高まります。
バイヤーズエージェントを活用しよう
不動産エージェントの中でも、バイヤーズエージェントは「買主の為の代理人」という立場から、不動産データベース「レインズ」の開示は勿論のこと、消費者にとって重要なネガティブ情報も隠すことなく開示してくれるのが特徴です。
物件の案内をするときには、物件のネガティブ情報をしっかりと解説し、上記のような案内術は、勿論使いません。
不動産業界の仕組みや裏話もお伝えします。
手前味噌ですが、弊社、江戸川不動産情報館もバイヤーズエージェントです。
物件情報は自動で毎日お送りします
弊社は、自動物件紹介サービス「物件提案ロボ」を提供しています。
物件提案ロボは「レインズ」から物件情報を抽出して毎日24時間以内にお送り致します。
また、物件情報には「ネガティブ情報」がわかりやすく解説されているAI評価書を添付致します。
AI評価書サンプル
まとめ
- 不動産屋の物件案内術は、本命物件を契約するためのものである。
- 不動産屋の思考を理解して、押し売り・売り込みを回避しよう。
- 不動産屋の第一義は、儲かる取引「両手仲介」である事が多い。
- 公平な不動産取引を実現する為には、不動産エージェントを味方につけよう。
- バイヤーズエージェントは買主の為の代理人である。
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