マンションの価格の決まり方とは?
江戸川区の不動産エージェント江戸川不動産情報館・金野秀樹(コンノヒデキ)です。
本日のテーマは「マンションの価格の決まり方」についてです。
参考にして下さい。
目次
マンションの価格はどう決まるの?
マンションの購入を検討する上で、良く出てくる問題として「新築マンションと中古マンションのどっちを選択すべきか」という問題があります。
そこで、本日は「新築マンション」と「中古マンション」を選択する上での参考材料として、それぞれの価格の決まり方について解説していきましょう。
新築マンションの価格の決まり方
新築マンションの価格の決定方式は「積上方式」です。
- 土地の仕入れ値
- 建築費
- 広告宣伝費
- 人件費
- 金利負担
- 利益
- 消費税
これらの項目を積み上げて加算していく事によって、新築マンションの価格は決定していきます。
土地の仕入れ値
当たり前の話ですが、土地がなければマンションは建てられません。
(戸建も同様ですね)
まず、マンションデベロッパーは、マンション用地を仕入れなければなりません。
このマンション用地の仕入れ値が高ければ、その分マンションの販売価格は高くなります。
近年のマンション価格の高騰は、東京オリンピックやインバウンドによるホテル需要の高まりを期待した「ホテル事業者」が高値でホテル用地を仕入れていることが一因と言われています。
結果、マンション用地を仕入れる際の「マンションデベロッパー」のライバルは、「マンションデベロッパー」だけではなく、「ホテル事業者」も加わりました。
勿論、マンションデベロッパー自体も「ホテル事業」に進出しています。
そして、結果的にマンション用地の仕入れ値は高騰しました。
建築費
建築費もマンション価格には影響を及ぼします。
2011年3月以降、東日本大震災の復興需要により、建築費は高騰しました。
資材もそうですが、現場の職人さん不足も影響しました。
東日本大震災の復興需要のあとには、東京オリンピック開催に向けて、インフラの整備や再開発事業が活発化されたことにより、建築費の単価は高騰が続きました。
(東京オリンピック2020はコロナショックの影響で延期となりましたが…)
広告宣伝費
新築マンションのチラシは、中古マンションのチラシと比べると、お金をかけて豪華に作成されます。
新築マンションのチラシは、両面カラー刷りだったり、凝った構成で作られています。
一方、中古マンションのチラシは、営業マンが自作している事が多く、輪転機による白黒刷りだったり、良くて三色刷りといったところでしょうか。
新築マンションの場合は、物件専用の特設ホームページも作成されます。
中古マンションで特設ホームページは考えられません。
ポータルサイトや自社サイトに写真をたくさん載せるのが精一杯です。
内装が完成して、内覧が出来るまでには、モデルルームも必要ですので、その分の費用もかかります。
人件費
人件費とは、新築マンションのデベロッパー全体の人件費の事です。
営業・総務・会計・経理といった社員のお給料を支払う為の費用です。
勿論、役員の報酬も含まれます。
中古マンションを仲介する会社にも、当然人件費がかかりますが、中古マンションを仲介する際の仲介手数料の上限は「物件価格の3%+6万円(物件価格400万円以上の場合)」と宅建業法で定められておりますので、それ以上報酬を多く貰う事は出来ません。
(なかには、ローン代行手数料等、別途費用を請求する会社もありますが…)
金利負担
マンション用地を仕入れる際に、現金で購入出来れば「金利負担」はありませんが、高額な仕入代金を現金で支払ってしまった場合に、運転資金や建築費が賄えない場合は、借入をしなければなりません。
その際の金利負担も、価格に上乗せされます。
細かいことを言えば、運転資金や建築費も借入で賄うこともあるでしょう。
利益
マンションデベロッパーは、マンションを販売することによって「利益」を上げることが事業ですから、当然利益をのせることになります。
物件によっては、損切で売りぬく事もありますが、マンション全体としては利益で「最低10%」は確保したいところです。
消費税
新築マンションの売主は事業者ですから、物件には消費税が課税されます。
ちなみに、土地は非課税※ですので、建物部分のみ消費税が課税されます。
※土地は「消費されるもの」ではないという考え方から消費税が課税されません。
コロナ過の新築マンションの販売動向
コロナショックに伴う緊急事態宣言発出の影響により、2020年4~5月は多くの新築マンションのモデルルームが休止しました。
発売は82.2%減の393戸、コロナ過で再び激減、過去最少の供給を更新。
引用元:不動産経済研究所 首都圏のマンション市場動向
結果、5月の首都圏新築マンション販売戸数は、前年同月比で約8割減でした。
直近のデータ(2020.7月)
発売は7.8%増の2,083戸、昨年以来11ヶ月ぶりの増加。
引用元:不動産経済研究所 首都圏のマンション市場動向
6月は前年同月比31.7%減の1,543戸、7月には前年同月比が11ヶ月ぶりに増加となりました。
近年の新築マンションは売り急がない
新築マンションというと、昔は完成までに完売を目指すのが定番でした。
しかし、近年は売り急がないスタイルに変化しているそうです。
その理由は、メジャー7と呼ばれる「大手マンションデベロッパー」は、会社自体に体力があるため、値下げしてまで売り急がないという理由が挙げられます。
ちなみに、メジャー7とは、住友不動産・大京・東急不動産・東京建物・野村不動産・三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンスの7社です。
こういった大手各社には、家賃収入等の他事業による別の収入源がありますので、マンションがすぐに売れなくても焦る必要はないのです。
新築マンションの供給は減少傾向にある
マンション供給戸数の推移
引用元:公益財団法人不動産流通推進センター
2020不動産業統計集(3月期改訂)
新築マンションの供給量は、上記の表の通り、ピーク時の平成19年(2007年)には約23万戸の供給があったのですが、その後、じわじわと減少し、平成30年には約10万戸にまで減少しました。
土地の仕入れ値や建築費が高騰し、マンション価格は高騰しました。
結果、「メジャー7」といった体力のある会社でないと新築マンションを販売することが出来なくなったのです。
新築マンション価格の推移
マンションの地域別平均分譲価格の推移
引用元:公益財団法人不動産流通推進センター
2020不動産業統計集(3月期改訂)
上記のグラフの通り、首都圏の新築マンションの平均分譲価格は、平成22年には「4,716万円」、平成30年には「5,871万円」と約20%も上昇しています。
価格が高くでも、需要があって買いたい人が沢山いれば、値下げしなくても売れていくのですが、上記の通り、近年の新築マンション価格は高騰しており、買える人が中々いないのが実情なのです。
例え買えたとしても、2010年代前半に比べて、専有面積が狭かったり、仕様のグレードが低かったりするのが特徴です。
その為、なかなか完成までに完売に至りません。
それでも、前述した通り、メジャー7等の大手マンションデベロッパーは、会社自体に体力がありますので、わざわざ値下げしてまで売り切ろうという所までには至りません。
新築マンションの計画にはタイムラグがある
新築マンションの計画には「タイムラグ(時間的ズレ)」が生じます。
土地を仕入れてから、完成までに時間がかかる為ですね。
その為、仕入れ値が高騰しているときに仕入れた土地にマンションが完成する時に、どんな経済状況になっているかわからないという弱点があるのです。
結果、2020年にコロナショックが起きたからと言って、価格を値下げすることは出来ないのです。
逆に、このコロナショックの最中(さなか)、マンション用地を安く仕入れる事が出来れば、数年後の新築マンションの価格は下がる可能性があるかもしれません。
しかし、どうでしょうか、下がった土地値の分は、専有面積を増やしたり、仕様のグレードを上げるといった事があれば、価格は下がらないかもしれません。
こればっかりは、数年後になってみないとわかりませんが…
中古マンションの価格の決まり方
中古マンションの価格の決定方式は「市場評価方式」です。
- 収益還元法
- 取引事例比較法
- 新築マンション・戸建(新築・中古)・流行等の外的要因
新築マンションが積み上げて加算していくのに対して、中古マンションは、収益還元法や取引事例比較法といった評価基準を基に、外的要因を加味して決定する「市場評価方式」によって価格が決まります。
中古マンションの市場評価とは、いわば「人気投票」とも言えます。
新築マンションは、売主の事情によって「価格」は決まりますが、中古マンションの場合は、いくら個人の売主が「売りたい価格」があっても、それで買いたいという人がいなければ成立しない訳です。
結果的には、ほとんどの場合、相場の金額で売却されていきます。
(なかには、高値でもどうしても買いたい場合(親族の隣戸や数年待っていた物件)や、競売や任意売却等の売り急がなければならない場合で、相場通りの価格ではない場合もあります)
「個人」と「法人(マンションデベロッパー)」の違いは、個人は「利益が第一義」というよりも住替え等の事情により売却することが多く、長期間に渡って売却活動をする事が出来ないケースがほとんどです。
それに対して、法人は「まさに利益が第一義」ですから、持ちこたえられる体力があれば、希望の価格で販売出来るまで我慢する事が出来ます。
収益還元法
収益還元法とは、不動産の利用価値である「賃料相場」を基に、売却価格を査定する手法です。
江戸川不動産情報館では、消費者でも簡単に査定が出来るAI査定システム「Sel-Fin(セルフィン)」をご提供していますが、中古マンションの査定にはこの「収益還元法」を用いています。
自分でも簡単に物件を査定出来るセルフインスペクションアプリ「Sel-fin」はこちら
取引事例比較法
取引事例比較法とは、類似物件(同じマンション・近隣マンション)の成約価格や売出価格を基に売却価格を査定する手法です。
比較する項目には、築年数・階数・専有面積・部屋の状態・角部屋・方角等があります。
新築マンション・戸建(新築・中古)・流行等の外的要因
中古マンションを査定する際には、収益還元法や取引事例比較法によって算出した価格をそのまま採用するのではなく、近隣の新築マンション・戸建物件(新築・中古)の価格やその時々の流行を加味する必要があります。
ようはライバルとなる物件と比較することも忘れてはいけない、
そして時流についても掴んでおくという事です。
中古マンションにあって新築マンションにないものとは
中古マンションにはあって、新築マンションにないものとは何なのでしょうか?
それは、ズバリ実績です。
実績について解説した記事がありますので参考にして下さい。
資産価値という観点
まとめ
新築マンションと中古マンションの価格の決定方法について解説しました。
なかには、新築マンションしか検討しない、あるいは中古マンションしか検討しないという方もいらっしゃる事でしょう。
しかし、マンション購入は「一世一代の大きな取引」です。
是非、新築マンション・中古マンションの特性をしっかりと把握した上でご決断頂ければ幸いです。
江戸川不動産情報館は、買主様の為の不動産エージェント「バイヤーズエージェント」として、今後も不動産関連の情報を発信していきます。
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