住宅購入 マンションの寿命について考える
江戸川区の不動産エージェント江戸川不動産情報館・金野秀樹(コンノヒデキ)です。
本日のテーマは「マンションの寿命」についてです。
参考にして下さい。
目次
マンションの寿命について考える
マンションの購入を検討するときに気になる項目の一つとして「マンションの寿命」があります。
最近の新築マンションは価格が高くて専有面積が狭く、そして品質が10数年前と比べると良くないと言われています。
結果、中古マンションを検討する方が増えています。
事実、首都圏では2016年以降、中古マンションの取引件数が新築マンションを上回りました。
中古のマンションを購入するときに気になるのがマンションの寿命についてです。
住宅購入時に購入動機の促進に繋がる住宅ローン控除の築後年数要件は「築25年以内」です。
「耐震基準適合証明書」「既存住宅売買かし保険の付保」「住宅引渡し後、自ら耐震改修」といった築後年数要件の緩和条件もありますが、マンションの場合は戸建と違い、共同住宅である為、かし保険の付保が出来なかった場合はハードルが高くなるのが実情です。
結果、住宅ローン控除の恩恵を受ける為に、築25年以内で物件を探すお客様が多いです。
そうなると、例えば築25年の中古マンションを購入して20年間住んで、お子さんが独立したりライフスタイルが変化した際に住替えをしようと考えた時、所有マンションの築年数は築45年になるわけです。
果たして、そのマンションにはまだ寿命があると言えるのでしょうか?
そして、需要があるのでしょうか?
マンションの寿命の一般的とは
税法によると、RC造マンションの耐用年数は47年とされています。
ですが、これはあくまでも課税する際の指標ですから、実際に住めなくなるわけではありませんし、資産価値がなくなり、需要がなくなるわけではありません。
国土交通省が発表した「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書には、RC造建築の建物寿命は117年であり、メンテナンス次第では150年まで寿命を延ばすことが可能と記されています。
ここ10年の中古マンションの成約物件の平均築年数は、年々上昇しており、この10年の間で約4年上昇しました。
4年と言われると、大したことがないと思われるかもしれませんが、この年数は平均値ですので、着実に成約物件の築年数は上昇傾向にあることがわかります。
中古マンション取引の築年帯別構成比率は下記の通りです。
何故、築年数が上昇しているのか?
それでは、何故中古マンションの成約物件の築年数が上昇しているのでしょうか?
これには、様々な要因が挙げられます。
- 新築マンション価格高騰
- 新築マンション高騰に引っ張られ中古マンション価格も高騰
- 築古物件のリノベーション・リフォーム需要の上昇
新築マンションは、東日本大震災特需・東京オリンピック・インバウンド需要の影響により、建築費やマンション用地の高騰により価格が上昇しました。
さらに、日銀によるゼロ金利政策・マイナス金利政策も価格上昇に一役買っています。
それらに引っ張られる形で、中古マンションの価格も上昇しました。
中古マンションの物件価格が上昇していった結果、希望条件の予算との兼ね合いから築年数の上昇が起きたことが予想されます。
低金利の住宅ローンで返済額は同水準
具体的に金額を比較してみますと、
- 2009年3月:フラット35金利2.99%、首都圏中古マンションの平均成約価格2,501万円、借入期間35年返済額「96,111円/月」
- 2021年2月:フラット35金利1.12%、首都圏中古マンションの平均成約価格3,775万円、借入期間35年返済額「108,687円/月」
この12年間で成約平均価格は約1,300万円上昇していますが、金利が低い為、毎月の返済額は約13,000円の上昇ですんでいます。
13,000円の上昇を安いと思うかどうかは、それぞれの価値観ですが…
リノベーション検討時の注意点
さらに、近年では築古物件をリノベーションするという手法が流行しています。
例えば、築40年・1500万円の物件を購入し1,000万円のリノベーションを行うというわけです。
築年数が古くなければ、リノベーション予算が少なくなってしまいますので、リノベーション事業者からすれば、築古物件は宝の山なのです。
不動産の仲介手数料の上限は3%+6万円(物件価格400万円以上の場合)、リノベーション工事の利益率は20~30%が相場です。
リノベーション工事の方が利益率が良いのです。
マンション価格の高騰とリノベ需要、あとは全体的に年々マンションの築年は上昇していきますので、取引件数の築年数が上昇していったと考えられます。
弊社の姿勢としましては、築古物件で高額なリノベーションは推奨していません。
その理由は、リノベーションの資産価値は、マンション本体と比べて毀損率が高いからです。
そして、自分にとって100点満点のリノベーションは、必ずしも第三者にとっても100点満点ではありません。
将来の住み替え時に、売却がしづらい可能性も検討してリノベーション内容を検討しておくことをお勧め致します。
予算感的には、基本的には300万円、かけても500万円くらいが無難だと考えます。
勿論、これは価値観の問題ですので、フルリノベーションを全否定しているわけではありませんので悪しからず。
リノベーションやリフォームのご相談の際には、私の見解をしっかりとお伝えして、それでも大規模な工事を行いたいという場合には、全力でサポートしています。
リノベーション検討時の注意点につきましては、下記の記事を参考にして下さい。
マンションの社会問題を把握する
国民の約10人に1人は分譲マンションで生活していると言われています。
そんなマンションには大きな社会問題が訪れています。
- 老朽化
- 大規模修繕資金の不足
- 管理組合・管理会社の質
- 所有者・居住者の高齢化
- 住民の転居後の慢性的な空室
マンションは管理を買う
先程挙げた社会問題を解決するには、適切な管理によるマンション運営が必要です。
例え、築年数が古くなっても、しっかりと管理されていれば、資産価値の毀損を防ぐことが出来るからです。
「マンションは管理を買う」という格言は有名ですが、実際にこれからマンションを購入される方は、必ず管理状況の確認をして下さい。
具体的には下記のような資料を確認する必要があります。
- 重要事項調査報告書
- 長期修繕計画
- 直近の大規模修繕の内容
- 管理組合総会議事録
- 管理規約
重要事項調査報告書
重要事項調査報告書には下記のようなマンションの管理状況に関する事が記載されています。
- 管理体制
- 共用部分・専用使用に関する定め
- 該当物件の管理費・修繕積立金の額や滞納額
- 管理組合の収支状況
- 管理費・修繕積立金の変更予定
- マンション全体の滞納状況
- 専有部分の使用規制関係
- 大規模修繕関係
- 建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況
- アスベスト使用調査
- 耐震診断の内容
- 管理形態
- 管理事務室関連
- コミュニティ関係
長期修繕計画
長期修繕計画では、そのマンションの今後数十年の修繕計画が確認出来ます。
修繕積立金は、十分に集められているのか、今後に値上げの計画があった場合の収支状況等が記載されています。
直近の大規模修繕の内容
出来れば、直近の大規模修繕の明細も欲しいところです。
重要事項調査報告書の中で記載されている場合もあります。
管理組合総会議事録
管理組合の総会議事録には、そのマンション内で起きている問題が記載されています。
どんな照会事項があって、どんな回答がなされたのかを確認する事が出来ます。
具体的に値上げの提案があった。
それが「否決された」「承認された」といった議事を読むことでマンション内の管理に対する姿勢を知る事が出来るのです。
なかには、開示してくれない場合もありますが、出来るだけ見ておきたい資料です。
管理規約
管理規約は、マンションのルールブックです。
例えば、共用部での決めごと、専有部分での決めごと、リフォーム工事の規定等々が記載されています。
聞かれなければ教えてくれない不動産業界の残念な体質
不親切な不動産事業者は、これらの書類の内、重要事項調査報告書を売買契約書の前に説明される重要事項説明書に転記して説明するだけにとどまり、しっかりと管理状況の分析までは行ってくれません。
契約当日に説明されて、消費者が冷静に判断出来ると思いますか?
弊社は、物件ご案内時には、これらの資料を分析してご説明するようにしていますが、なかには非協力的な元付業者※もいます。
※元付業者とは、売主様より直接売却を依頼されている仲介業者のこと
とある不動産事業者の担当者は、書類を求める私に対して「何の為に使うんですか?」と言ってきたこともあります。
同じ業界にいて情けないのですが、聞かれなければ開示しないという体質の担当者が、まだまだ不動産業界に多くいるのです。
区分所有法では、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、管理規約の閲覧が認められています。
さらに、その他の資料についても、国土交通省により「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」が改正されて、管理規約も含めて書面交付を可能とする条項が追加されました。
それなのに、非協力的な業者がいるとは…
自社や自分の利益が第一義なのでしょうね。
本当に残念でなりません。
勿論、親切な担当者もたくさんいます。
消費者は、不動産事業者と担当者をしっかりと選ばないと、大きな損失を被ってしまいます。
担当者の選び方についての参考記事をあげておきますので、ご興味のある方はお読み頂ければ幸いです。
国土交通省参考資料
まとめ
マンションの寿命は、適切な管理が行われて計画的な修繕を施せば、100年以上と言われている。
しかしながら、適切な管理が行われなければその限りでありません。
立地によっては、解体して建替えを視野にいれているマンションもありますが、建替えの際の区分所有者の合意形成は容易ではありません。
適切な管理が行われていないマンションは、老朽化によって管理会社から管理委託契約の継続を断られたり、マンション保険の高額な保険料の要求に戸惑ったり、あるいは将来にマンションを住み替えをする際に依頼先の不動産業者から冷たくあしらわれてしまう事も想定されます。
マンションの購入の際には、前述したような資料(重要事項調査報告書・長期修繕計画等)をしっかりと分析してくれる担当者に相談する事をお勧め致します。
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